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ヨーロッパ透析移植学会 研究発表報告

体験記(村上)

平成27年5月28日から6月2日、イギリスのロンドンで開催された、ヨーロッパ透析移植学会(第52回ERA-EDTA:52nd European Renal Association – European Dialysis and Transplant Association congress LONDON 2015)に参加させて頂く貴重な機会を頂きました。
私自身、人生初の海外渡航、それが海外学会への参加。学会の第1印象として日本国内の学会に比べて堅苦しさのない自由な感じ、雰囲気がありました。

私たちリハビリテーション科では透析患者様のADLをADL評価法である “ Functional Independence Measure (FIM) “ を用いて、リハビリテーション介入によるADL改善と生命予後との関連を研究してきました。今回、 “ REHABILITATION IMPROVES PROGNOSIS AND ACTIVITIES OF DAILY LIVING IN HEMODIALYSIS PATIENTS “ というタイトルで発表させていただき、その内容の結果としては入院時FIMが低くリハビリ介入でFIMが増加しなかった透析患者様はFIMが高くリハビリ介入でFIMが増加した透析患者様より生命予後が約16倍悪いということがわかりました。 今回ポスターでの発表でしたが、予想以上に多くの方が関心を示していただき、ポスターを見ていって下さいました。台湾の医師からは、「非常に面白い、帰国したら自分の病院でも調べてみる。」と褒めていただき、「これだけの効果があるのは、君たちが何か特別なことを透析中にしているのか。」と言う質問も頂きました。
所々で活発な議論が交わされており、他の発表者のポスターを見てみると、色鮮やかなものが多く国内のものとはその点も違う印象であり、とても新鮮に感じました。日本の発表者は1割くらい、そのなかに理学療法士もおり、大学の准教授の方でしたが、今でも情報交換させていただいております。

市内観光、名所を巡らせていただきました。ロンドンは治安も比較的良く、建物なども古き良き時代のもの(私のイメージではシャーロック ホームズですが)と、とても近代的なものと見ているだけでも楽しめました。大英博物館では、ロンドン在住でロンドン大学において考古学を研究している義兄に展示物の解説をしてもらいました。ロンドン塔は雨が降る中でしたが当時の面影を残しており圧倒されました、バッキンガム宮殿で衛兵交代に遭遇し、テムズ川沿いをビッグベンからタワーブリッジまで数時間かけて散策しました。アビーロードでは多くの人がビートルズのように写真を撮るべく行列になっていましたが、交通量が多く、皆タイミングを計るのに必死でした。

今回、大変有意義な時間を過ごすことができましたが、自身の反省として、英語全般のスキルはもちろんですが、特にヒアリングを鍛えなければいけないと痛感しました。
今後も臨床での成果、疑問など研究し国内はもちろんのことですが、また海外に発信できたらと考えております。
最後に我々の研究をサポートして下さった中村裕也先生、今回学会に同行サポートして下さった都立駒込病院の安藤稔先生、原正樹先生、出張期間中患者様のフォローをしてくれたリハビリスタッフはじめ病院スタッフの皆様、そしてこのような大変貴重な機会を与えて下さった後藤善和理事長、後藤博道理事長に深謝致します。

医療法人 埼友会 埼友草加病院
リハビリテーション科
理学療法士 村上卓也

体験記(塚原)

今回、私はイギリスのロンドンで開催された「第52回ヨーロッパ透析移植学会:ERA-EDTA(European Renal Association-European Dialysis and Transpant Association)」に参加し、Rehabilitation improves prognosis and activities of daily living in hemodialysis patients(透析患者のリハビリテーション介入効果と生命予後)についてポスター発表を行ってきました。

私たちは以前に、透析患者様が行っている日常生活(以下ADL)を点数化したFIMスコアの低下が透析患者様の生命予後悪化に繋がることを報告してきました。透析患者様の運動習慣やADL、生命予後との関連の報告はありますが、リハビリ介入によるADL改善が生命予後へどう影響するかを検討した報告はまだありません。
そこで透析患者様により効果的なリハビリを提供するため、リハビリによる効果や改善因子、生命予後への影響を調査しました。結果、リハビリによりADLは大きく改善し、もともとADLが低くリハビリであまり改善できなかった透析患者様は、もともとADLが高くリハビリでADLが改善した透析患者様より死亡率が約16倍高いということがわかりました。また、認知機能が低下している患者様ではADL改善が難しい結果となりました。
これらの結果から、透析患者様に対し、理学療法士・作業療法士が早期から積極的にリハビリ介入して、適切な情報入力や活動を引き出すことで脳を活性化させ、認知機能をいかに早く、可能な限り高めていくことが重要であると考えられました。

学会会場は2012年にロンドンオリンピックでも使用されたロンドン・ニューアム特別区にあるロンドン東部のテムズ川北岸に建てられたExCeL Londonという巨大展示場でした。ヨーロッパだけではなくアジア圏など様々な地域出身の医療関係者が出席され、5/28~6/1の4日間で全参加者数8190名(Europe 4887名、Asia 1594名、Africa 473名、Central America 89名、Middle East 413名、North America 351名、Oceania 138名、South America 245名)と規模も様子も日本の学会とは異なり、見るもの全てが新鮮でした。

自身の発表では、多分野の方から質問および今後の研究に役立つ助言を得ることができました。また、英語での議論であったことから、語学力の乏しい私は事前に用意していった答えやプリントを見せながら、身振り手振りで答えましたが、どこの国の出身者も英語でのコミュニケーション能力に長けており、自分の英語の未熟さを痛感し励みとするのによい機会となりました。

学会全体を通しては、興味深いシンポジウムが多数行われていたり、日本の大学の先生方と討論を交わすなどの交流をはかり、研究の輪を広げる活動も行うことができました。
学会が行われたロンドンは、古い街並みとロンドンを象徴するタワーブリッジやビッグベン、エリザベス女王が住んでいるバッキングガム宮殿を観光させていただきたり、テムズ川沿いでは大道芸が行われていたりと非常に賑やかでした。

このような人生初の国際学会を通じて、研究面、語学面および文化の違いなど様々な点において学ぶことが多く、大変貴重な経験をすることができました。
最後に、本研究をサポートして下さった埼友草加病院の中村裕也先生、さらに研究の準備、サポートのみならず、発表に際しても立ち会って下さった都立駒込病院の安藤稔先生、原正樹先生に感謝申し上げます。 そして今回このような大変貴重な機会を与えて下さった後藤善和理事長、後藤博道理事長に深謝致します。

医療法人 埼友会 埼友草加病院
リハビリテーション科 塚原秀樹

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